カメラと私

 

 

写真を撮るようになってから

しばらく使っていたのは父のカメラ。

学生の娘と父。

思春期真っ只中とは言わないまでも

 まだちょっとだけ微妙なお年頃。

今思えば

小さなカメラの貸し借りが

父と娘の距離を

少しだけ近づけていたのかも知れない。

 

大学を卒業して

社会に出た

あるとき

ふと新しいカメラが欲しくなった。

「父の」ではなく「自分の」カメラ。

 

通勤で毎日通るカメラ屋さんの店頭に

誇らしげにそれはあって

一目惚れをしたのだけれど

以来密かに憧れつつも

 なかなか思い切れなかった(当時の私にとっては)大きな買い物。

それが当時発売したてだった

 

『 PENTAX MZ-3 』

 というフィルムカメラ。

 

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時代はいつの間にかデジタルへと移行し

御多分に洩れず私もデジタルカメラを使うようになった。

あんなに意を決して手に入れたMZ-3も

すっかりお役御免となり

 いつしか箪笥の肥やしに。

10年以上

全く使うこともなく眠ったままだった。

 

それが今年になって

急に再び日の目を見ることになろうとは。

 

きっかけは

写真仲間の間で

「フィルム写真の展示してみない?」
という話が出たことから。

ちょうど世間で「写ルンです」ブーム再来とのニュースを見た頃で

それならと軽い気持ちで写ルンですを使ってみたら

これが楽しかったの!

 

眠ったままのMZ-3を引っ張り出すまで

 時間はかからなかった。笑

 

メンテナンスを経て

ようやく息を吹き返したかつての相棒。

すっかりデジタルに染まってしまっていた私にとって

フィルムを選ぶ、入れる、ファインダーを覗く、シャッターを切る、

すべての動作が新鮮さと懐かしさでドキドキする。

そしてフィルムの緊張感が心地よい。

いちいち手間がかかるのもとても可愛らしい。

なによりも

 思い出が詰まっている。

ただただカメラを持って歩くことが

 本当に楽しい、

それはかつてMZ-3を持ち歩いていた時と同じ。

でもたぶん

以前とは

 ちがう写真が撮れそう。

 

 

デジタルを持って歩く時とは違う回路が

 頭の中で構築されるような感覚、

 とても病みつきになる。

 

カメラは麻薬。

 

 

PENTAX MZ-3
FA 43mm F1.9 Limited
Kodak PORTRA 400 

少しずつ、春に出くわす。

 

 

もう、すぐ、そこ。

 

 

PENTAX K-5Ⅱs
D FA MACRO 100mm F2.8
DA☆55mm F1.4